1.履行勧告
家庭裁判所で決められた内容を守らない人に対して、それを守らせるための制度として履行勧告があります。家庭裁判所に履行勧告の申出をすると、家庭裁判所が相手に取決めを守るように説得・勧告します。履行勧告の場合、手続きに費用はかかりませんが、勧告に応じない場合でも支払いを強制することはできません。
2.履行命令
履行勧告でも支払いがされない場合は、家庭裁判所に履行命令を申立てができます。家庭裁判所が履行命令の申立てに、十分な理由があると認めた場合は、期限を定めて支払いを命令します。命令に従わない場合は、10万円以下の罰金です。
3.強制執行
強制執行には、直接執行と間接執行があります。
・ 直接執行
直接執行とは、約束されている期日に金銭の支払いがされない場合に、申し出を受けて地方裁判所が義務者の財産(不動産・債権など)を差し押さえて,その財産の中から支払いをさせるものです。強制執行の申立てには、
1. 調停調書・審判書・判決書(正本)
2.送達証明書
3.審判の場合は審判確定証明書が必要になります。
* これらの書面は,調停,審判,判決などをした家庭裁判所に申請して交付を受けることができます。
* このほかに住民票や商業登記簿謄抄本などの書類が必要になることがあります。
* 債権執行の申立てには、手数料(原則として4,000円)及び郵便切手(実費3,000円程度。各裁判所によって異なります。)が必要です。
基本的には、未払分のみの差し押さえしかできませんが、定期的に支払時期が来るもの(養育費・婚姻費用など)については、未払分に限らず、将来支払われる予定分についても差押えをすることができます。差し押さえ限度は、だいたい相手の給料の4分の1まで(場合によっては2分の1まで)です。
・ 間接執行
間接執行は、債務(原則として金銭債務以外)を履行しない者に対して、一定期間内に履行しなければ、その債務とは別に間接強制金を課すことを警告するというものです。これによって、債務者に心理的圧迫を与えて自発的な支払いを促すものです。金銭債権の中でも、養育費・婚姻費用の分担金など、夫婦・親子・親族関係の扶養に関する権利については、間接強制ができます。
間接執行は、直接強制のように義務者の財産を直接差し押さえるものではありません。したがって、間接強制の決定がされても債務者が自発的に支払わない場合、養育費・間接強制金の支払いを得るためには、別に直接強制の手続きが必要になります。また、義務者に支払う能力がない場合は、間接強制の決定がされないことがあいます。
5.寄託
寄託とは、調停・審判で決められた債務がスムーズに支払われるように、家庭裁判所が金銭の寄託を受けて権利者に交付する制度のことです。当事者間に家庭裁判所が入り、トラブルを回避するものです。この制度を利用するには、当事者の同意が必要です。